2008 |
06,30 |
スーパー歌舞伎の「ヤマトタケル」に行ってきました。
歌舞伎は2回ほど行ったことがありますが、スーパー歌舞伎は初めて。
はっきりいって、「勧進帳」と「藤娘」と連獅子が出てくるのが
演目に含まれていたなぁという位の記憶で、
面白かったのか面白くなかったのかも覚えていないほど・・・
とっても失礼なのですが、
「歌舞伎役者さんって、普通のお芝居やっても上手なんだ」
というのが始まってすぐの感想でした。
何と言っても、演技に迫力がありました。
テレビでは色々な歌舞伎役者さんがドラマなどに出演されていますが、
やっぱり舞台にはテレビや映画など映像とは違う迫力があります。
ヤマトタケル役は、右近さんと段治郎さんがダブルキャストで演じています。
私が見た公演では段治郎さんがタケル、
供としてタケルと行動するタケヒコ役が右近さんでした。
品があって男前な段治郎タケルと
どこかユーモラスで気風のいい右近タケヒコ。
この二人が入れ替わった公演も是非見てみたいと思わせる、
そんな素晴らしい舞台でした。
大掛かりな舞台に派手な立ち回り、アクロバティックなシーンに、
ミュージカルを思わせる迫力のある歌や踊り。
鳴物や謡や舞や見得を切るシーンなど、
伝統的な歌舞伎のスタイルという土台の上に、
新しいものを違和感なく融合させている点が、
このスーパー歌舞伎の最も素晴らしいところだと思いました。
そして演者さんの素晴らしいこと!
兄姫(えひめ)と倭姫(やまとひめ)という二人の女性は、
年齢設定は違えどもキャラクター的には似ているという気がしました。
二人ともタケルを大きな愛で包み、一歩ひいたところから優しく見守る女性。
しかし笑也さん演じる兄姫は、おしとやかでたおやかな中に、
タケルを心から愛する内に秘めた情熱や強さが見え隠れしました。
笑三郎さん演じる倭姫はただただもう大きく深く強い愛情でタケルを包み、
でもそこには知性やユーモアという人間味あふれる一面を持っていました。
脚本も面白く、ヤマトタケルはじめ、
どのキャラクターもそれぞれが魅力的に描かれていました。
特に主人公タケルは伝説で見られるような強さだけではなく、
様々な面が描かれています。
優しさや誠実さや繊細さ、ユーモアがあり大胆で純粋・・・
そして何より伝説の英雄というだけでなく、
彼もまた人であるがゆえの愚かさまでもが描かれた点が
素晴らしいと思いました。
物語のラストで、タケルが白鳥となり宙釣りで劇場に羽ばたくシーン。
一番前の席だった私の目の前で段治郎さんが
愛する人達へのメッセージを投げかけます。
それまで父に認められない苦しみ、愛する人を失う悲しみなど、
何度も段治郎さんのほほを涙がつたっていました。
でもこのシーンでは目に涙をいっぱいためながらも、
涙が瞳からこぼれ落ちることはありませんでした。
それは私にとって、この物語が悲しみだけでは終わらなかった証でした。
でも、本当の救いはその後カーテンコールにありました。
父帝の膝に顔をうずめるタケルの肩に、優しく手を添える帝。
あんなにも求めてやまなかった父の愛をタケルが感じた瞬間です。
ヤマトタケル、意外と泣ケル・・・
来年もぜひスーパー歌舞伎の公演をやってもらいたいものです。
そうしたら、必ず足を運ぶでしょう・・・・
2008 |
06,12 |
先週末に千種文化小劇場まで行って来ました。
「井原西鶴の原作に依らない 好色一代男・名古屋版」
井原西鶴といえば、大学時代に近世文学で習ったなぁと懐かしく思いました。
が、よくよく考えると内容をさっぱり覚えていません。
授業がてとも面白かったことは覚えているんだけどなぁ・・・
私が一番興味をひかれたのは、「名古屋版」というところです。
今はほとんど使われなくなってしまった、
「なも」に代表される昔ながらの「上品な名古屋弁」を聞くことができました。
主人公「世之介」の父親「金左衛門」を、
先輩のお能の先生である田辺さんが演じていらっしゃいました。
そのためか、お芝居の中でも能の一場面が取り入れられていました。
しかもその場面というのが、私も以前少しだけお能を習ったのですが、
まさにその時に習った場面だったのです。
能の中でもポピュラーな場面ということなのでしょうか?
実は私がその場面を習った時に、ちょっと恥ずかしい失敗をしたのです。
詳しいセリフの内容は忘れてしまいましたが、
主に呼ばれた従者が何かを頼まれて「へ~~~え!」と返事をするのですが、
私は堂々と「え~~~っ!」と言ってしまったのです。
というか、「え~~~っ!」で間違いないと思っていたのです。
その時の先生は和泉元彌さんだったのですが
「そんなに思いっきり嫌がらなくても・・・」とツッこまれました。
お芝居では、様々な女性と関係を結んできた世之介が、
江戸の町で偶然すれ違った尼に、亡くなった父親の供養をさせてくれと
お願いするあたりから急展開します。
その尼は、世之介が若かりし頃憧れ、愛し合った花魁だったのです。
世之介に捨てられた花魁は、世之介を恨み世を儚んで尼になったと語ります。
世之介にとって、彼を通り過ぎていった女性達は皆よい思い出でした。
しかし花魁にとって世之介は、自分を捨てた憎い男なのです。
それを知った世之介は、他の女達もみな自分を恨んでいるかもしれないと
恐ろしくてたまらなくなるのです。
これは、いつの時代の恋愛でも同じことがいえると感じました。
別れた相手がいい思い出になっていくのか、
いつまでも恨めしく感じるのかは、
男と女の違いなのか、個人の違いなのか・・・
物語のラストで、
現代にも通じる恋愛の真実を見たような気がしました。
2008 |
06,11 |
昨日は名古屋での「マンマ・ミーア」上演100回目ということで、
記念にメモパッドが貰えました。
物語の舞台は、エーゲ海に浮かぶ小さな島。
一人でホテルを切り盛りしながら娘を育てるパワフルなシングルマザーのドナ。
そしてドナの20歳になる娘で、明日結婚式を迎えるソフィの物語です。
母ドナの昔の日記をこっそりと読んで、
父親候補の三人の男性に結婚式の招待状を送ったソフィ。
「会えば一目で誰が本当のパパか分かるはず!
私は結婚式でパパとバージンロードを歩きたいの。」
と自分のルーツであるパパを探そうとします。
結婚式の前日、ドナの若かりし頃のバンド仲間に続いて島に姿を現したのは、
ソフィが招待状を送った三人の男性。
果たしてソフィの本当のパパは見つかるのか?
「マンマ・ミーア」は物語の全編をABBAのヒットナンバーが飾ります。
私はABBA世代ではありませんが、
それでもほとんどの曲を耳にしたことがありました。
いかにABBAが人々に愛され続けているのかということに、
この舞台を見て気付かされました。
「この結婚は、観る人まで幸せにする。」
というチラシの文句通り、物語の結末は意外でHappyな展開に。
そして感動のカーテンコール。
客席と舞台が一体となり、
劇中でも登場したABBAのヒットナンバーが、
きらびやかな衣装やダンスとともに綴られていきます。
「マンマ・ミーア」はスペイン語で、日本語では「私のママ」。
ソフィがパパを探す中で、
一番大切なことは何なのか?ということを知ると同時に、
母ドナが恋人と別れてからの21年間を取り戻すための物語でもあります。
楽しい歌にポップな衣装、リズミカルなダンスに、
泣いたり笑ったりのストーリー。
心弾みHappyな気持ちになることうけあいの舞台です。
マンマ・ミーア
新名古屋ミュージカル劇場
http://www.shiki.gr.jp/main.html
2008 |
04,30 |
2週間程前になりますが、
お友達に誘ってもらってお芝居を見に行ってきました。
「小林賢太郎」さんの、ソロパフォーマンスライブです。
「ラーメンズ」というコンビでお笑いもやっていらっしゃる方のようです。
役者さんなのか芸人さんなのかはよく分かりませんが、
今回は脚本、演出、出演の全てが小林さんの手によるソロ公演です。
コアなファンの方がたくさんいらっしゃるようで、
客席に座る私はよそ者の気分・・・
開演前の客席はすでに静かな熱気にあふれていて、
チケットが即日完売するのも分かる気がしました。
会場に入ると、舞台前にたくさんの人がいました。
舞台には幕などが降りておらず、近づいて自由に見ることができたからです。
ちょっとレトロな雰囲気のあるかっこいいセットです。
このセットを見るだけで、ワクワクした気分にさせられました。
お芝居はいくつかの短いストーリーで構成されていました。
それは一つ一つが独立していながらも時に絡み合い、
気が付くと最後にはちゃんと最初のお話とつながっているという、
私にとっては極上のショートトリップのような舞台でした。
またそれぞれのストーリーの表現の手法が多様で、
次から次へとあの手この手で繰り広げられる小林ワールドに
どっぷりとハマッてしまいました。
思いっきり笑って、気分も爽快!
「頭がよくて、面白い」
まるで理想の彼氏の条件のようなフレーズがぴったりな舞台でした。
2007 |
09,13 |
まわりに結構見ている人がいたので感想を聞いてみたら、
「心変わりはやすぎ!」と言う人が何人かいました。
でも私的には心の動きがちゃんと見えるストーリー展開だったので、
あまり違和感は感じませんでした。
私がミュージカルで好きなことの一つにコーラスがあります。
いくつもの声がそれぞれの思いを表現しながら重なりあう
あの迫力を間近に感じた時は、
「劇場に足を運んでよかった!」と思う瞬間です。
CMに使われるだけあって、囚われたヌビアの民が
アイーダに救いを求めるシーンのコーラスでは、
私の心もヌビアの民とともに高揚してしまうほどでした。
新名古屋ミュージカル劇場の舞台はそれ程広くはありません。
でも見ている時にふと、その舞台がとても広く感じる瞬間が何度かありました。
役者さんたちの演技によって私が物語に引き込まれ、
限られたスペースのはずの舞台を広く感じさせたのかもしれません。
私が気に入ったシーンの一つに、アイーダとラダメスがお互いの思いを告白し、
二人の心が通い合う場面があります。
ミュージカルの、思いを歌にのせるところに不自然さを感じる人もいるようですが、
私はこのシーンは、歌っているからこそよりよいのだと思いました。
喜びや切なさ苦しさが、旋律にのって心にすっと入ってくるようでした。
今回残念だったことが一つありました。
それは昨日はリハーサル見学会の日だったってこと。
前回見に行った時は見学会にはかすりもせず
「行ってみたいなぁ」と思っていたのに、
今回は見学会の存在そのものを忘れていました。
リハーサル見学会は四季の会員じゃなくても
当日のチケットさえ持っていれば参加できるのに、
もったいないことしたなぁ~。
今度行く時はチェックを忘れないようにしなくちゃ!
2007 |
08,05 |
旦那のお母さんに誘われて、
秋川雅史さんのコンサートに行ってきました。
秋川雅史さんは、昨年の紅白で
「千の風になって」を歌ってブレイクしたテノール歌手です。
コンサートは秋川さんのソロのもので、曲と曲の間にトークが入ります。
今まではテレビでしか見たことがなく、
生で秋川さんを見るのは初めてのことです。
初めて見た秋川さんは「上品で知的な人」という印象でした。
とても面白い方で、
トークにはウィットのきいたジョークが随所にちりばめられていて、
「もっとトークも聞きたい!」と思わせる程の話し上手な方です。
あの甘いマスクで上品で知的で面白いとくれば、
人気がでない訳がありません。
歌ももちろんよかったですが、
人柄に惹かれて思わずファンになってしまいました。
そして何より、生で聞く歌声は素晴らしいものがあります。
時には力強く、時には楽しげに、時には甘く、時には切なく・・・・
歌に、言葉に、メロディーに、魂が込められるというのは
こういうことなんだなぁと感じました。
なんといっても、空気がふるえるこの臨場感は
生でしか味わうことが出来ません。
秋川さんが話してくださったお話の中でとても印象深いものがあります。
それは「奇跡を信じますか?」という話です。
ある部族は「雨乞い」をすると必ず雨が降るといいます。
なんてことはありません。
その部族は雨が降るまで、一週間でも一ヶ月でも、
とにかく雨乞いの踊りを踊り続けるのです。
そして雨が降ると「願いが通じたのだ!」といって、
自分達の起こした奇跡を喜びあうのです。
秋川さん曰く「奇跡ってもしかしたらそういうものかもしれませんよ」
確かに、本当に叶えたい夢って、強く強く願い続けて、
努力なんかもしちゃったりして、
そしていつか叶った時に「奇跡がおこった」とか思ったりね・・・
そして人と人の出会いもまた奇跡なのだと。
お義母さんに誘っていただかなければ、
私も秋川さんのコンサートに行くこともなかったかもしれません。
これもまた「奇跡」だったのでしょうか・・・